統合失調症
南湖こころのクリニックの前身である南湖病院は、ベッド数126床の入院病棟のある単科精神科病院でした。入院患者様の約8割は統合失調症の患者様で、当時は統合失調症の方の何十年という長期入院は当たり前でした。
このころの記憶からか、統合失調症といえば鉄格子のある入院病棟に入り、一生退院することができない、一生治らない「不治の病」であると思っている人がいるようです。
しかしそれは誤解です。多くの精神疾患と同じように、適切な治療により、多くの患者さまが回復します。そして、社会生活を営めるようになります。
南湖病院も時代に合わせ、入院病棟を閉鎖し、外来治療とデイケアを中心とした南湖こころのクリニックに生まれ変わったのが、2004年です。以来、多くの統合失調症の患者様がデイケアを利用しながら症状をコントロールし、普通に社会生活を送っています。
入院病棟を閉鎖するときは、入院患者様のご家族や周囲の方から、「統合失調症の患者はどこにいけばいいのだ」「治るわけがないのに病院から出すなんて」と。しかし患者様から「病棟閉鎖という決断をしてくれたおかげで、福祉ホームで過ごしながら自立に向けたリハビリを行っています」という感謝の手紙が届いた時、統合失調症の治療は、デイケアによるリハビリが効果的であることを実感したのです。
統合失調症とは?
めずらしい病気ではない
統合失調症はけしてめずらしい病気ではありません。およそ100人に1人がかかるとされる、比較的身近な病気です。ただし、根本的な原因は分かっていません。
ただ発症には、素因と環境の両方が関係していることが分かっています。つまり、統合失調症になりやすい要素を持った人が、ストレスや人生の転機といった環境の影響を受けたことにより、発症するのではないかと考えられているのです。
統合失調症の患者様の多くは、妄想や幻覚が病気によって起こっている症状であることを認識できず、自分は病気ではない、自分は正常であると思い込んでいます(病識の障害)。これは統合失調症の典型的な症状のひとつです
代表的な症状は幻覚と妄想
統合失調症の症状はとても多彩ですが、大きく「陽性症状」「陰性症状」に分けられます。
治療法は?
LAI(持続性注射剤)という選択肢
統合失調症の治療は、第一が薬物療法です。特に幻覚や妄想が強い時期には薬物で症状をコントロールする必要があります。
しかし、統合失調症の服薬治療は他の精神疾患と比べても長期に渡ります。そのため、自己判断で服薬を中止してしまう方が多いようです。しかしこれが、再発や症状の悪化を繰り返してしまう原因に。「いまの薬をやめたい」「副作用がつらい」などの悩みがある場合は、自己判断をせず、必ず医師に相談しましょう。
また、近年注目されているのが、「LAI」と呼ばれる持続性注射剤です。いままでの経口剤には、1日に何度も飲むのが大変、飲み忘れてしまうといった問題がありましたが、LAIなら月に1~2回打つだけでよいので、薬の飲み忘れの心配がなく、再発や症状の悪化の心配も軽減。生活の質の向上が期待できます。
デイケアで社会性を学ぶ
薬物療法は主に、陽性症状である幻覚や妄想といった統合失調症特有の症状をコントロールするための治療です。さらに普通に社会生活を送るためには、陰性症状である「日常生活における障害」の回復も治療の目標となります。
陰性症状の回復には、機能の回復を目的とした薬物療法と並行して、リハビリテーションなどの心理社会的な治療を行います。これらは組み合わせることで相乗効果が期待できます。リハビリテーションを行うのは、精神科デイケアです。多彩なプログラムを通して、人とのかかわり方や感情の表現の仕方など、社会生活を送るうえで大切である、さまざまなことを学びます。
ただし、病識の障害により服薬や静養など治療に必要な最低限の約束を守れないといった患者様には、入院治療をおすすめする場合があります。
南湖こころのクリニックの特徴
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