見えにくい「うつ」を可視化する
光トポグラフィ検査は、うつ病によるうつ状態なのか、統合失調症によるうつ状態なのか、非常に分かりにくい双極性障害によるうつ状態なのかといったうつ状態を鑑別する、診断を直接後押しすることができる診断補助ツールです。
うつ病は「こころの病」とされていて、これまでは目に見えない、とらえどころのない病気と思われてきました。しかし心の病とはいうものの、うつ病は脳内機能の不調によって発症するものです。これを何とか目に見える形でつかまえたいという思いから研究されたのが、光トポグラフィ装置と呼ばれる医療用検査機械です。
光トポグラフィのポイントは、脳の活動状態が誰でも理解できる波形とし表示できることです。結果が可視化されることで、患者様はご自身の状態を正しく理解し、納得して治療に取り組めます。また「少しも改善していない」という思い込みによる病状の悪化も避けられます。これこそが、光トポグラフィの優れた点なのです。
これまでの研究で、うつ病、双極性障害、統合失調症にかかっている方の脳、そして健常者の脳は、それぞれ特徴的な反応を示すことがわかっています。反応には個人差があるため、継続的に検査を続けることで、脳内活性状態の推移を正確につかみ、治療に反映させることができます。
光トポグラフィ検査とは
どうやって行うの?
光トポグラフィによる検査は実に簡単です。被験者は、15本のコードがつながったヘッドセットをかぶってソファにゆったりと座ります。事前に注射や服薬の必要もありません。あとは、検査技師の指示に従って、「あいうえお」と数回繰り返し、例えば「カ」で始まる単語を20秒間に思いつくまま上げていく、といったものです。次に別の音(たとえば「タ」や「キ」)で始まる単語をやはり20秒間に答え、合計3回、正味60秒間で終わります。
どんな答えを出すかではなく、簡単な質問に答えるときに、脳がどんな反応(働き)をしているかと知ることが、この検査の目的です。大脳の言語野という領域を流れる血液中のヘモグロビン量の変化から、脳の活動状態を測定しています。
どんな検査?
この機械は、近赤外線を利用して、頭皮から20ミリほどの深さの大脳皮質を流れる血流に含まれるヘモグロビンの量を測定します。何カ所ものポイントで計測し、刻々と変わる血流の様子を波形で表示します。その波形の形状によって、大脳の活動状態を知ることができるのです。
どんな結果がでるの?
光トポグラフィは約30年前に開発された機械ですが、改良が重ねられ、多くの臨床検査データを蓄積してきました。その結果、健常者と、精神疾患者とでは、脳内(前頭葉左下部)に血中ヘモグロビン量の推移が、それぞれに異なったパターンを示すことが分かっています。うつ病の場合は、全般的に反応が鈍く、グラフはフラットです。双極性障害では、反応はするものの、遅れが認められます。
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